曲の特徴をよく捉えた演奏

諏訪内晶子の詩曲(ポエム)
訴求力があり節度のある表現が諏訪内晶子の真骨頂でしょう

ヴァイオリンの美しさに浸ろうと思い、このCDを聴きました。
長い間モントリオール交響楽団を育ててきたシャルル・デュトワの指揮、古き良きヨーロッパの香りを残した英国のフィルハーモニア管弦楽団の演奏、そして諏訪内晶子が居を構えているフランスの作曲家の作品を中心に収録するという好企画です。比較的有名な作品から、非常に珍しい曲まで変化に富んだプログラム・ビルディングが魅力です。

サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」や、ショーソンの「詩曲」を聴いていますと、端正でけれん味のない格調高い演奏なのはすぐに理解できました。正統派といいますか、非の付けどころのないカチッとした音楽です。音の伸びやかさと透明性は比類なく、表現力も多彩ですし、作曲家の意図も的確に再現しています。

クライスラーの小品「才たけた貴婦人」は一服の清涼剤のような感じを受けました。愛らしい曲です。軽やかな演奏が曲の可憐さを引き出していました。
ベルリオーズの「夢とカプリッチョ」も良いですね。幻想交響曲のイメージが強いですが、このようなメロディアスで、チャーミングで、華麗なヴァイオリン曲があったのですね。清純な香りもしますし、情熱的な部分も感じました。

秀逸なのはラヴェルの「ツィガーヌ」です。内面の充実が感じられるようなメリハリの効いた訴求力のある演奏です。前半4分間のヴァイオリン独奏の部分は、演奏の難しい部類に入ると思いますが、技術的な点は申し分無く、表現力においても聴く者の心を捉えて離しません。異国情緒溢れる曲の特徴をよく捉えた演奏でした。

詩曲(ポエム)

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タグ:諏訪内晶子
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ギターをつまびく音色が、メロディーが心地よい

村治佳織のポートレイツ

スタンダード集だが、いままでのアルバムの中で一番好き。

村治佳織のスタンダード集第1弾。坂本龍一から始まり、ウエストサイドストーリーやクラプトン、ビートルス、クラシックの曲も雨だれ、トロイメライなどPOPSとしてもよく聞かれる選曲。技巧的にはかなり複雑なテクニックを多様しているのに、さらっと聞かせるところは流石.ギターはクラシックではマイナで、あまりなじみの曲がないのでこの路線になるのは致し方ないと思う。かえってバッハのチェンバロ曲やドビュッシーのピアノ曲を無理矢理アレンジするよりはまし.

理屈抜きですね

多くの人が一度は聞いたことがあるであろう有名な曲がカバーされているのでクラシック系音楽の初心者でも聴きやすい作品だと思います。
私もその初心者で普段はハードロックを聴いていますがこの作品は買ってよかった。
当然歌はないのですがギターの奏でるメロディがとても心地よいです。
テクニックが素晴らしいだけではなく音から感情がにじみ出ているように感じます。
私はクラシック音楽に詳しい訳でもなくギターが得意な訳でもありませんが買ってよかったと思える作品でした。


ギターをつまびく音色が、メロディーが心地よいです

このアルバムで印象的なのは

メロディーの部分を、とても
「歌って」いることだと思われます。


 爪弾かれる弦の音色が
 抑揚をつけるための、音の強弱が

 弦をスライドさせる音が
 ぽろぽろぽろ、、、っと
  さりげない、スパイシーな早弾きが

歌となって
曲に、豊かな表情をつけているのでは、と感じます。


BGMでももちろんいいのですが
若干大きな音で聴くことが
おススメと思われますがいかがでしょうか。

ポートレイツ(限定盤)(DVD付)

マリメッコ
タグ:村治佳織
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興味を持って触れてみたい

出久根 達郎のセピア色の言葉辞典

言葉の魅力について

言葉って何気なく使っていても難しいと感じることが多い。
本書では日々言葉に触れている著者が、その中で気づいたことをエッセイ風に纏めている。

ひとつの言葉に秘められた魅力。
それを余すことなく伝えている。

ちょっとした言葉について、
興味を持って触れてみたい。

セピア色の言葉辞典

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狼犬の実在する銅像

戸川 幸夫のオーロラの下で

狼犬の実在する銅像

ニューヨークのセントラルパークにあるという狼犬の銅像。いつか見に行ってみたい・・・・(実は行くつもりだったけどテロで中止になってしまった

動物番組好きの息子が読書好きになるかも。

私が子どもの頃に読んで「感動した。」記憶があり、読書嫌いの息子に読ませました。
決して登場する狼たちが口をきいたりするわけではないけれど、作者の鋭い、温かい観察をもとに書かれた物語は今読んでもじんときます。
子どもの頃に読んだときは、ただ狼たちの厳しい世界における親子の絆に感動しただけでしたが、今読むと、人間も狼も「若いのが一番!」じゃないんだなどと違った視点でまた感動しました。
国語の教科書をいやいや読んでいた息子ですが目を輝かせて読んでいます。

オーロラの下で

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タグ:戸川 幸夫
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新鮮で、趣があった

主人公の心の動き

30代も半ばに入ろうとしている主人公の、「持ち家」で起こる様々な出来事。男友達との関係や、継母との関係、そして結婚について。彼女の心の繊細な動きや、葛藤が、同じ30代である私にとって、痛いほどよくわかる。著者の作品を読むのは、「目醒め」に続いて2作めであるが、どちらの作品とも、比較的読みやすい。そして、「札幌」という都市が舞台となっていて、季節の移り変わりも感じられるのが、新鮮で、趣があった。

白い屋根の家

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しめくくりが大好き

藤堂 志津子の蛍姫

恋愛短編集

蛍姫、大姫、歌姫、橋姫、清姫を収録。
「もの思えば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る」男性が、葉留子にくれた“和泉式部集”の中の歌。彼にとって葉留子は、蛍のような女だという。そんな彼に、葉留子は好意を持つ。
恋に悩み、恋に喜びを感じる女性たちの、短編集。


きっかけは

私が藤堂志津子にハマルきっかけとなった本です。
13年ぶりに読み返しましたがやっぱり好きですね。
春海の出てくる2編はあまり好きではありませんが(というか春海のキャラが好きではない)、蛍姫と清姫のしめくくりが大好きです。

蛍姫

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藤堂 志津子さんの蛍姫

恋愛短編集

蛍姫、大姫、歌姫、橋姫、清姫を収録。
「もの思えば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る」男性が、葉留子にくれた“和泉式部集”の中の歌。彼にとって葉留子は、蛍のような女だという。そんな彼に、葉留子は好意を持つ。
恋に悩み、恋に喜びを感じる女性たちの、短編集。

きっかけは

私が藤堂志津子にハマルきっかけとなった本です。
13年ぶりに読み返しましたがやっぱり好きですね。
春海の出てくる2編はあまり好きではありませんが(というか春海のキャラが好きではない)、蛍姫と清姫のしめくくりが大好きです。

蛍姫

デニムスカート
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極上の逸話

出久根 達郎の作家の値段

作家たちのいま

昭和時代の文豪たちの、
今の価格はいくらなのか。

下世話な話、興味津々である。

有名作家たちも存命中はいろいろとあっただろうに、
なくなってからン十年。

まさかその後、こういう形での評価を受けているとは夢にも思うまい。


作家の時価?

出久根さんの本は総じて、飽きることがないのだけど、この1冊は読み始めはともかく、中盤からダレました。
というのは基本的には古今の作家の古本の相場話に終始するからです。

もちろん、その合いの手に色々なエピソードが絡んでいるのはいうまでもありません。でも、基本的な骨法が同じだと、何編も読んでいると飽きてしまうのです。

古本、初版本、私家本。いろんな本があり、その本の帯の色一つで値段が大きく変わっていくというのは、興味深くもあります。でもそれは小さな玩物趣味の域を出ないような気がするのです。

それに。古本の世界では「蔵書印」は傷として扱われます。でも本が好きで、思い出が深ければ、何かを記しておきたいと思うのが人情です。傷となるのを承知で、傷を付けるのもまた、読書に親しむ者の業なのかもしれません。



あなたが好きなあの作家はいくらか。

この著者だけにしか書けない、画期的な「作家論」。
単行本が出たときは読みそびれたが、今回一気に通読してしまった。

司馬遼太郎、三島由紀夫、山本周五郎、川端康成、太宰治、寺山修司、
宮沢賢治、江戸川乱歩、樋口一葉、夏目漱石、直木三十五、野村胡堂、
泉鏡花、横溝正史、石川啄木、深沢七郎、坂口安吾、火野葦平、立原道造、
森鴎外、吉屋信子、吉川英治、梶井基次郎……。 

それぞれの作家の、単に古書市場での評価や、書誌学上な視点からのアプローチ、
という通好みの話題ではなく、「古本屋さん」としての実体験に根ざしつつ、
採り上げた作家にまつわる、著者の人柄が随所にじみ出てた好エッセイに
なっているというところが、本書の最大の魅力。しかも、いわゆる「名著」
の相場のような実用的な情報も盛り込んであって、まさに花も実もある本。

ご贔屓の作家に手厚いものの、そこは元は商売人、
けっして“偏愛”にも“書痴”にも陥っていない。
もちろん今や御本人自身堂々たる直木賞作家。さばき方は見事で、
どの作家についても、極上の逸話で引き寄せられてしまう。

いわゆる「人気作家の本」の周縁、待遇、たどった運命。
そのいろいろに大いに啓発され、大いに感心しながら読みました。
ここで著者が描いてみせた「それぞれの作家」のありようを、
読者自身の個人的な評価や、好き嫌いを見据えながら確かめるのも一興。


作家の値段

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簡単には言葉にできない深い読後感

Lost child

坂本龍一 Lost Child が気に入って10年ぶりに読み返した.今の時代だからこそ,もう一度読み通したい.子育てを経験して初めて理解できることも多い.この本のメッセージを十分に理解するには,もっと自分の時間が必要かもしれない.大人のもろさ,子どもの強さを思い出せる小説.

どんな育児書よりも。

初版時に読了。
でも、ずっとレビューを書けませんでした。
簡単には言葉にできない深い読後感。
虐待を受けた子が心に刻みつけていく傷口を
丁寧に描写しています。

長編です。
未読の方は、すべてが解き明かされるラスト5巻まで
どうぞあきらめずに読み進めてみて下さい。
きっと心に「何か」を残すはずです。

これから親になる人、今子育て中の人に特にお薦めします。
子育てをする時に最も注意しなければいけないのは、
その子の心に、親の手で「傷」をつけないこと。
どんな育児書よりも雄弁にそれを語っています。

日本推理作家協会賞受賞作。

生きるって、こんなに切なかったっけ?

今年の直木賞を受賞した、天童荒太の作品。
前から気になっていた作家でした。
行きつけの古本屋で上下¥200で発見。即買い。
しかし、¥200で購入したことを申し訳なく思わされるような、素晴らしい作品でした。

この「永遠の仔」。
単行本は二段組みで、上下2巻。
結構な厚さですが、2日間くらいで読み終えました。

読んでないときは、
何をしてても話の続きが気になり、手に付かない。
読んでいるときは、
病院で順番待ちをしているときも、自分の名前を呼ばれても気付かない。
周りの音が一切、入らなくなるような不思議な感覚。
それほど、この本の中に入ってしまうのです。
そして息を詰めるように読みすすみ、優希、モウル、ジラフの生き方を見つめる。。。


この作品は、ミステリーなのでしょうか?
私にはもっと違うように思えます。
長い長い物語を読み終えたのは渋谷の喫茶店。
こみ上げてくるものもありましたが、一番は

切ない。
切ないよ。
生きるって、こんなに切なかったっけ?

本当に読みごたえのある作品でした。
おすすめです。

永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)

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私にとっては最大の関心事

高橋 克彦のゴッホ殺人事件

惜しい研究者を失った。
 由梨子の知り合い、浮世絵研究者の塔馬双太郎が登場し、下巻の主人公として活躍します。
 スイスの富豪の不可解な死
 由梨子の母親の死 
 研究者マーゴの爆死。
 モサドの一員の死
物語は連続殺人の様相を見せていきます。
ゴッホの絵や、兄弟の往復書簡の謎。
色々盛り込まれてお話が展開していきます。

ちょいと水増し状態?
我らが塔馬がいよいよ登場。
国際的美術犯罪団のもくろみを未然に防止するとともに、
「何故にゴッホは生前全く評価されることがなかったのか?」
という永遠の疑問に対しゴッホ兄弟の微妙な関係を元にした鋭い推察を述べてくれます。
美術にまつわる深い考察と推理の着眼点はさすが!の高橋ミステリー。
しかしながら上下巻構成の欠点なのでしょうか・・・。
長丁場の会話がやけに多く、展開がやけにスローに感じてしまうという弊害は否めません。
上下巻に分けず、一冊ですっきりまとめてくれた方がスッキリしたのでは?

後半はつまらなかった
ゴッホの蘊蓄をめいっぱい散りばめながら
けっこうサクサクと繰り広げられる殺人(笑)事件。

上巻が結構面白かったので引き続き読んだのだが、
犯人はコイツだろうなぁ?というのが見えてきてしまうし、
ゴッホの蘊蓄もネタ切れになって、
非常にスローな展開になってしまった。

しかも、私にとっては最大の関心事だった
ゴッホの死をめぐる謎についても
何だか歯切れ悪く中途半端にまとめられているので、がっかりした。
ゴッホ殺人事件〈下〉

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タグ:高橋 克彦
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雰囲気やノスタルジーを味わいたい人

高樹 のぶ子のマイマイ新子

マイマイ新子
個人的には知らない時代だけど、なんとなく子供のころを思い出して懐かしく感じた。


この年代にひたすら弱い
自分の生涯でもっとも輝ける時代は小学校の六年間だと思っている
だって、昭和三十年代、東京五輪が開催されるまでの
豊穣が詰まった時を過ごせたから。
確かにノスタルジーを味わいたいといえばそうですが
その時代を知っている人間が描いてくれた
風や木や季節の香りを体で覚えてる私には
本当に子供時代に一瞬で戻ったようで
読み終わった後、なんとなく泣けてきてしまいました。
昭和三十年代のありのままを伝える
愛する「サザエさん」とアニメ「となりのトトロ」
そこにもう一冊「マイマイ新子」が加わって
タイムマシンが手に入れた気分です。

千年の魔法
『マイマイ新子』です。2009年にアニメ映画化されました。
昭和30年の山口県の田舎町を舞台にした、9歳の少女の成長物語、ということになると思います。全26個の短いエピソードの連続という形です。
なんといっても描写が細かく、豊かな自然、昭和30年という時代をノスタルジックに描いています。主人公が9歳の女の子ですが、非常に感性豊かというのが出ています。その主人公が周囲の環境の影響を受けながらも、自分で考えながら真っ直ぐに答えを出しつつ成長してゆく様がしっかりと描かれているのは良い部分だと思います。
文体も平易で、主人公と同年齢の読者を意識した、児童文学のような感じです。

ただ、この手の作品において、「豊かな自然描写」「ノスタルジーを前面に押し出した雰囲気」「子供の健やかな成長」というのは定番といいますか、こういう要素は宮崎アニメあたりがどうしても有名です。
それらの要素を備えた中で、上乗せとしてストーリーなどで面白さを出せるか、がポイントと思われるのですが。
本作は、26個のエピのそれぞれが、小学生の絵日記という感じでした。もちろん日記としては優れた描写でレベルは高いのですが、物語としては、「こんなことがありました」ということの連続なので、どうしても「だから何なんですか?」という思いを抱いてしまいます。つまりストーリーにおいてエンターテインメント的な要素が物足りないということです。宮崎アニメのような壮大なファンタジーや大きな山場があるわけでもないですし。

とはいっても雰囲気やノスタルジーを味わいたい人にとっては良いと思います。

マイマイ新子

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